SL(蒸気機関車)

昭和34年~36年、私は徳島県立徳島東工業高校電子応用科に通学していた。その時の通学列車こそが、いわゆるSLに牽引された客車だったのである。

SL見学

私が小学校3年生の時、大潟分校から阿波橘駅へ教師のはからいで、SLの見学に行った。その時の感動は今でも鮮烈に覚えている。想像はしていたが実際に傍で見たことがなかったSLを至近距離で見たのだから多感な少年の胸は高鳴ったのであった。もちろん、その巨大さに圧倒されたが、石炭の焼ける匂いが脳幹を刺激したし、シューという音や、ドドッという車輪の動き出す音は凄かった。

機関士に憧れる

多感な少年がSLの機関士に憧れるのはあたりまえだった。将来はこのような仕事をしてみたいと憧れるのは当然のことである。思い返せば、私の人生は文系ではなく理系であったが、その原点こそがあの日のあの感動だったのかもしれない。

ロマンを掻き立てる夜汽車の汽笛

昭和37年くらいまでは国鉄牟岐線にはSLが走っていた、私の家は牟岐線の鉄道からは東へ直線距離で約2kmくらい離れていた。ただし、家と鉄道の間には低い山があったのだが、それでも真冬には季節風が夜中に走る貨物列車の汽笛や動輪の音を凄烈に運んできていた。少年はその音を聞いて「今日も走っているな」と懐かしんでいたのだった。