おぼろ月夜

1 菜の花畠(なのはなばたけ)に 入日(いりひ)薄れ(うすれ)
  見わたす山の端(やまのは) 霞(かすみ)ふかし
  春風そよふく 空を見れば
  夕月(ゆうづき)かかりて におい淡し(あわし)

2 里わの火影(ほかげ)も 森の色も
  田中(たなか)の小路(こみち)を たどる人も
  蛙(かわず)のなくねも かねの音も
  さながら霞める(かすめる) 朧月夜(おぼろづきよ)

 

  秘すれば花なり、

  秘せずは花なるべからず、

             世阿弥

(奥に秘めているからこそ、花(女性)として存在感をもつ、秘めていなければ花としての価値はなくなってしまう。世阿弥:日本の室町時代初期の猿楽師)