冬景色

1 さ霧(さぎり)消ゆる(きゆる)湊江(みなとえ)の
  舟(ふね)に白し(しろし)朝の霜(しも)
  ただ水鳥(みずどり)の声はして
  いまだ覚めず(さめず)岸の家

2 烏(からす)啼きて(なきて)木に高く
  人(ひと)は畑(はた)に麦を踏む(ふむ)
  げに小春日(こはるび)ののどけしや
  かえり咲(かえりざき)の花も見ゆ

3 嵐吹きて雲は落ち
  時雨(しぐれ)降りて(ふりて)日は暮れぬ
  若し(もし)燈火(ともしび)の漏れ来ずば(もれこずば)
  それと分かじ(わかじ)野辺(のべ)の里