1 松原(まつばら)遠く 消ゆる(きゆる)ところ
  白帆(しらほ)の影は浮ぶ
  干網(ほしあみ)浜に高くして
  鴎(かもめ)は低く波に飛ぶ
  見よ昼の海
  見よ昼の海


2 島山(しまやま)闇(やみ)に 著き(しるき)あたり
  漁火(いさりび)光淡し(ひかりあわし)
  寄る波(よるなみ)岸に緩くして(ゆるくして)
  浦風(うらかぜ)軽く(かろく)沙(いさご)吹く
  見よ夜の海
  見よ夜の海

 

 

 私のふるさとは徳島県阿南市大潟町(以下、大潟という)です。

 大潟の東の端に「あこめ」という小さな浜辺があり、今も昔のままの姿をとどめています。

 少年時代に友達と泳いだり、潜ったり、魚釣りをしたりして毎日楽しく遊びました。

 大人になってからも、自分の子供たちを連れて遊びにいきました。

 30年前に、転勤で大潟を離れ、今は松山市に住んでいます。

 毎年4回、ご先祖様の墓参りに家内と二人で大潟に帰って、

「あこめ」の浜辺を訪れてみると、なぜか胸が熱くなり、涙が溢れてきます。

 大海で過ごした鮭がふるさとの川に戻ってくるように、私の体内の遺伝子が「あこめ」の浜辺に戻りたがっているのかもしれません。

 きっと、ご先祖様もこの浜辺で、子供の時から遊んでいたに違いありません。

 いつか必ず、孫を連れて墓参りに帰り、一緒に「あこめ」に行って波と戯れて遊ばせたいと思っています。