ふるさと

1. 兎追ひし かの山
  小鮒(こぶな)釣りし かの川
  夢は今も めぐりて
  忘れがたき 故郷(ふるさと)

2. 如何(いか)にいます 父母
   恙(つつが)なしや 友がき
  雨に風に つけても
  思ひ出(い)づる 故郷

3. 志(こころざし)を はたして
  いつの日にか 帰らん
  山は靑き 故郷
  水は淸き 故郷

 

 

 ふるさとは遠きにありて思ふもの

 そして悲しくうたふもの

 よしや 、うらぶれて 

 異土の乞食となるとても

 帰るところにあるまじや

 ひとり都のゆふぐれに

 ふるさとおもひ涙ぐむ

 そのこころもて

 遠きみやこにかへらばや

 遠きみやこにかへらばや

             室生犀星