1 空も港も夜(よ)ははれて
  月に数(かず)ます船のかげ
  端艇(はしけ)の通いにぎやかに
  寄せくる波も黄金(こがね)なり

2 林(はやし)なしたる 檣(ほばしら)に
  花と見まごう船旗章(ふなじるし)
  積荷(つみに)の歌のにぎわいて
  港はいつも春なれや

 

 

  どちらにしても

  人間はこんな風にしか

  生きられないというものがあり

  死ぬまではそんな風に

  生きていくしかないと

  覚悟している。

               白洲正子