秋のあわれ

  更け渡る秋の夜
  庭に鳴く虫の音
  萩原(はぎわら)の伏庵(ふせいお)
  さらぬだに此の身(このみ)は
  旧にし(ふりにし)世忍ぶに
  淋しさは身に染む(しむ)
  淋しさよ伏庵
  淋しやな秋の夜

  更け渡る秋の夜
  峰に鳴く鹿の音(ね)
  山陰(やまかげ)の伏庵
  さらぬだに此の身(このみ)は
  過ぎにし世忍ぶに
  悲しさは身に染む(しむ)
  悲しさよ伏庵
  悲しやな秋の夜