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 オンジャコ

 ふるさとの名物の一つが「オンジャコ」である。正式名はシャコというのだが、ふるさとでは、オンジャコと呼んでいた。たぶん都会育ちの人はこんな生き物は見たこともないだろう。田舎でも漁村の人しか知らないのが普通である。なぜなら、この生き物は現在でも町のスーパーや鮮魚店では売られていないからである。

写真は茹で上がったばかりのシャコ→

 60年前の大潟村では、打たせ網漁が盛んに行われていた。打たせ網漁とは、帆船が風力を利用して悠々と網を引く漁業である。網の中には獲物として鯛や蛸、烏賊、ハモ、等の高級魚だけでなく、海底に潜んでいるオンジャコもかかってくる。高級魚は市場に出荷されるが、当時は雑魚として商品価値がなかったシャコは付近の村民におすそわけされていた。太田家では畑で野菜を作っていたので、オンジャコのお返しとしてホウレンソウやネギなどを漁業関係の方に、差し上げたりしていたようである。

 さて、塩茹でにしたオンジャコの味はというと、エビのようなカニのような独特の味であり、特に茹でたての30cmくらいもある特大のオンジャコの味は格別うまかった。家族が輪になって「ウマイ、ウマイ」といいながら食べたものである。

 
 

 生きているシャコは、このような形をしている。→

 資料出典先:環境農林水産研究所

 シャコは茹であがりがシャクナゲの花のような淡い赤紫色であることから、江戸時代にシャクナゲと呼ばれていた名が縮まったそうです。シャコは甲殻網口脚目シャコ科というグループに属し、頭にカナヅチ形の目と鎌のような大きな捕脚をもち、胸に歩脚が三対、腹の遊泳脚に綿のような鰓があり、尾節には鋭いトゲがあります。英名はその姿形からMantis shrimp(カマキリエビ)と付けられています。北海道以南、仙台湾、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などの水深10~20メートルの浅い海に住み、比較的汚濁に強く、きれいな砂地より泥がかった場所に多くいます。尾節をスコップのように使い、自分の体長の2~4倍のU字型の巣穴を掘り、単独で生活しています。夜間や潮が濁った時に巣穴から頭を出し、眼をグルグル回して獲物を探し、巣穴に近づくゴカイ類・貝類・エビ・小魚などを捕らえます。獲物を捕るカマ(捕脚)には鋭いトゲが並び、とらえた獲物を逃がしません。昆虫のカマキリはカマをふり下ろすように使いますが、シャコは下からすくい取るように一瞬でエサを捕らえます。シャコは獲ったエサを巣穴に持ち帰って食べ、食べかすは穴の外に捨てます。巣穴は隠れたり、餌を食べる重要な場所で、ガラス水槽で飼育すると、餌も十分に食べず、ストレスで衰弱死してしまうそうです。