城ケ島の雨 

 

  雨はふるふる
  城ケ島の磯(いそ)に
  利休鼠(りきゅうねずみ)の
  雨がふる

  雨は真珠か
  夜明けの霧か
  それともわたしの
  忍び泣き

  舟はゆくゆく
  通り矢のはなを
  濡れて帆あげた
  ぬしの舟

  ええ 舟は櫓(ろ)でやる
  櫓は唄でやる
  唄は船頭さんの 心意気

  雨はふるふる
  日はうす曇る
  舟はゆくゆく
  帆がかすむ

 

いのちの力の使い方ーー 

結論からいうと、これは極めて短い言葉で表現することができる。 

すなわち「力を入れることに重点をおかずに、力を働かすことに重点をおく」-- 

これである。 

                                   中村天風