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ステップ2

 出発、はるかなる火星をめざして

艦長「船長は太郎、副船長は次郎じゃ、では二人の成功を祈る」

次郎「艦長は乗っていかないのですか?」

艦長「今回はわしはステーションに残る、君たち二人が中心になって行ってくれたまえ」

太郎「では出発します。秒読み開始、5,4,3,2,1,0 次郎、エンジンを始動せよ」

次郎「エンジンスイッチON」

ドドドドド・・・・・、宇宙船はこきみよい軽やかな音を出して国際宇宙センターをゆっくりと離れていった。

そして、船内には、誰の配慮かわからないが宇宙戦艦ヤマトのテーマ曲が流されていた。

ヒューストン「こちらは地球上の管制センター、ヒューストンだ、しばらくはこちらの指令に従ってくれたまえ」

太郎「了解、よろしくお願いします」

ヒューストン「では、まず、次のスイッチを押してくれたまえ」

次郎「自動制御の、Auto/Manu切り替えスイッチをAutoにすれば良いのですね」

ヒューストン「その通りだ」

次郎「Autoにしました。」

ヒューストン「了解、これから先は宇宙船のコンピュータがエンジンやその他の機械を制御するからね、何か変わったことがあればその様子を報告してください」

太郎「ヒューストン、こちらは宇宙船、目的地は、火星にセットしましたがそれで良ろしいでしょうか」

ヒューストン「もっと詳しく、火星の周囲を周回する衛星になる、というようにセットしてください、ただ火星だけでは火星の地面に衝突してしまいますから困っちゃうよ」

太郎「そうでした、今モニタを見ながら次郎がキーボードでコンピュータと会話しながらそのようにセットしています」

次郎「コンピュータ君、これでよろしいでしょうか」

コンピュータ(女性の声で)「火星の衛星になりたいということで了解しました(画面に女性があらわれる↓)」

次郎「What is your name? 」

メーテル(コンピュータの声)「My name is メーテル. How do you do 太郎 & 次郎」

太郎「よろしく、メーテルさん、まるで銀河鉄道スリーナイン みたいな気分になってきたよ」

次郎「乗組員はメーテルを加えたら3人だね、メーテルよろしく」

メーテル「私はコンピュータだけど心は人間と同じなのよ、でも食べ物は太陽電池の電気だから少しちがうけど」

次郎「声も顔も人間そっくり、それにすごい美人ですね、ひとめぼれしちゃいましたよ」

メーテル「次郎さんありがとう、なんだか恥ずかしいわ」

・・・・・2033年、最新のコンピュータは人間のような感情をもつものが作られる時代になっていた・・・・・

メーテル「とりあえず進路を火星の方向にむけて第二宇宙速度まで加速します」

太郎「了解、地球の引力圏から脱出するのですね、メーテル」

メーテル「そのとおりよ、二人ともシートベルトをしっかり締めなおしてね」

 参考情報

 太陽系の惑星は太陽を中心にほぼ同一平面上を反時計方向に公転しているが、太陽に近い惑星ほど早い速度で公転しているこれは惑星の誕生時の重さと太陽の遠心力によって決まったものであり、太陽の質量と惑星の質量に変化がなければその関係は変わるものではない。ここで重要なことは火星と地球を出発した宇宙船の関係について考えるとまずは十分な速度を有していなければ到着はできないということ、その速度を有していてもコントロールを誤ればこれまた到着できないであろうということは容易に想像出来るであろう。

 さらに重要なことは火星と地球の距離は公転速度の差によって時々刻々と変化しているという事実である。それは変えることのできない事実ではあるが、唯一の救いはそれぞれの惑星の公転速度は相対的には差があるものの、単体としては規則性があり(一定速度なので)例えば火星は数か月後には太陽系のどのあたりに存在しているのかコンピュータを使えば正確に予測できることである。従って、宇宙船としては数か月後のターゲット惑星の位置を予測してできれば少し早めに先回りして余裕をもって同期できるように適切に運行しなければならないのである。

 なお、2033年という未来においては、最新型宇宙船には高度なコスモナビ(例えば2013年ごろのカーナビのような宇宙ナビゲーター)がついていて、太陽系内の自分の位置を測定するとともに、目的地までの距離を計算し、現在の速度だとあと何日でそこに行けるか瞬時に割り出すことができるようになっている。なお、アインシュタインの相対性原理などによってわかるように、地球を離れた宇宙船は太陽系という宇宙の中のゆりかごのような中にいて、太陽系内の惑星みたいな存在となる。しかし、宇宙船にはエンジンと舵(かじ、推進方向変更装置)が付いているので太陽系内を移動できるのが特徴である。宇宙には空気はなく真空であるため、一度加速するとエンジンを停止してもそのまま慣性で飛行することができる。そのため、一度進路を定め、必要な速度まで加速したらエンジンを停止して次に進路変更が必要になるまでは燃料節約のため慣性だけで飛行するのが普通である。

 地球と火星は太陽を中心として同じ方向に回っているが、地球は太陽のまわりを365日で一周するのに対して火星は687日で一周している。このため、地球と火星の距離は長い目でみると近づいたり遠ざかったりしているのである。だから火星に行くときは出発時期を誤ると莫大な日数がかかってしまうので専門家がわりだしたちょうど良いころあいをみて出発しなければならないし、一度出発した宇宙船も自分と火星の進路を予測しながら加速したり方向を変えたりして慎重に進まなければならない。その進路計算は宇宙船のコンピュータと地球の管制センターのコンピュータが協力して行うシステムとなる。なお、管制センターの大画面では太陽を中心とした各惑星の現在位置、そして宇宙船の現在位置を鮮明に映し出すことができるし、近未来の位置も予想して映し出すことができる、そうすることによって宇宙船がもっとも正確にもっとも少ない燃料で飛行できるようにコントロールするのである。こうした技術は人類が積み重ねてきたもので全人類の財産であるため戦争や地球温暖化による異常気象で消滅しないように現在生きている人々は平和な世界を築き技術力を未来の子供に継承してゆく義務がある。

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