2page、2014年6月22日、魅惑のクルージングのはじまり
1.見送られて
33年前、私はこの大桟橋で、誰にも見送られず一人寂しく洋上研修に旅足った思い出がある。が、今回は違った、なんと家内の妹夫妻とその子息夫妻、子供たちまで来ていただき総勢7名に、ちぎれんばかりに手を振っていただいたのであった。 やっぱり、船旅にはこういう見送りの舞台で見送ってくれる人たちが必要なんだなあということが、あらためてひしひしとわかった。かくして、豪華客船にっぽん丸2万トンはひかえめに汽笛をならしながら、日本最大の横浜、国際ターミナル大桟橋をゆっくりと離岸、岸壁には他の船客を見送る人々も来てはいたが、親戚の親子3代、7人もの豪勢な見送りグループは他に見当たらず、今回は心から込み上げてくるものがあり、真にありがたく、楽しく、たいへん嬉しかった。 |
2.出航合図のドラの音が魂を揺さぶる
子供の時から船が出航する場面には何度かでくわした、その時いつも身の毛だつような感動が押し寄せてくる、船で生活を支えてきた江戸時代の先祖の清吉、そして父親の克己の遺伝子が私の魂を揺さぶっているのである。写真は今回のにっぽん丸のドラをジャンジャンジャ~~ンと打ち鳴らすとぼけ顔のおっさん、それが、なぜか子供の様に愛くるしい表情なのであった。ちなみに船は昔から出航合図のドラを打ち鳴らす、そして一昔前なら「蛍の光」のメロディが流れだし、見送る人、送られる人の涙を誘うのが常であった。 しかし、今回はドラの音には変わりはないが、船が岸壁を離れはじめると同時に、蛍の光ではなく、数名の楽団員が船上に立ち並び、実際に演奏しながら歌ってくれたのは有名なジャズ「ユア・マイ・サンシャイン」であった。しかも、右舷プロムナードデッキでは直ちに真剣な避難訓練が執り行われた後、再び楽団によるその音楽が演奏され、歌声が響く中で、スパークリングワインサービスがあり、再び思い出に残る楽しい出航ムードを盛り上げてくれたのであった。 |
2-2. 避難訓練 の様子
16時35分より、全乗客をグループ単位に集めてプロムナードデッキで避難訓練が行われた
2-3.ボンボヤージュサービス
プロムナードデッキで乗客にスパークリングワイン(発泡ワイン)とジュースがサービスされた。ボンボヤージュとはフランス語で「良い旅を」の意味がある。
2-4.船上のデッキで、楽団によるユア・マイ・サンシャインで出航ムードが盛り上がる。
2-5.出航の様子
3.船室に落ち着いてみて
スーペリアステート、417号室には先に宅急便で送ってあったスーツケースとダンボールが既に到着し二人を待っていた。室内はホテル並みの設備が整えられ、大型の窓からは時々刻々と変化する海上の様子をゆったりと遠望できる。テーブルにはウェルカムキャンディ。 やがて本船が日本本土を離れるに従い、携帯電話の電波はあっさりと圏外になるし、地上デジタルテレビ電波も入らなくなる。騒々しい情報社会を離れてこれまで経験したことのない別世界である。 東京湾の出口にさしかかるころから、折からの梅雨前線の影響か、船はゆっくりと揺れ始めた。写真の机の引き出しがひとりでに出たり入ったりするくらいだったからはじめての船客にとっては相当な揺れ体験であったろう。私たちの場合は、船内で用意された酔い止めの薬をすぐに服用し、横になっていたら酔うほどではなかった。
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4.大浴場(グランドバス)で疲れを癒す
3階の船尾にはホテル並みのタオルやカミソリ、ドライヤー、そして整髪料セットを完備した風呂がある。清潔感溢れる美しく大規模なジェットバス、さらに石鹸、ボディソープ、シャンプー、コンディショナを装備した専用シャワーも7台並んでいて余裕がある。朝6時から12時、15時から翌1時まで自由に利用でき、高齢者が多数を占める船客で大いに賑わっていた。 私はこの風呂がたいへん気に入りで、以降毎日何度も入浴して疲れを癒すことができた。この風呂に入りたいからもう一度にっぽん丸クルーズに行きたいくらいだ。 ちなみに、何か異常があればベルを押すと、若い船員が数名駆けつけてくれて、手を取り足をとりで世話してくれるし、船には病院までもあるのでいざという場合も安心である。ただし、この病院では国民健康保険などは効かないので注意が必要。 |
5.食事について
船旅での楽しみの一つに三度の食事がある。かねがねにっぽん丸の食事は季節感のある専属シェフ自慢の美味しい料理がふるわまれると聞いていたが、それはほんとうでうわさ通りの素晴らしいものであった。 高齢者が多いこともあって、どちらかといえばあっさり系で、淡泊ではあるが盛り付けも美しく手の込んだ料理であったと思う。 さて、ご存知の「旅は道ずれ、世は情け」という古い日本のことわざ、昨今の航空機や新幹線のようなあわただしい旅ではまるで考えられないことだが、ゆったり、のんびり行くにっぽん丸クルージングでは、食事で同席した見知らぬ同士が最初は無言だったが、話しかけてみると自然に打ち解けて、どうしてこの旅に出たか、家族のことなど、他愛ない話ばかりだったけど、そのうちになんとなく仲間みたいな気持ちになってしまい、デッキで写真を撮り合う、下船時にはお互いに丁寧にお別れの挨拶を交わすなどの体験をした。そうか、私は古い日本人の一人だったのだ。
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