5 page、2014年6月25日体験記
1.概要
今日は、小笠原最後の日で、乗客は16時までにオプショナルツアーを終えてにっぽん丸に戻り、17時に予定通り出航する
2.朝食
7時から早々に済ませる、今日は8時30分に小笠原岸壁に集合になっているので8時には通船に乗りたいためだ。
3.大村岸壁にて、8時10分、小笠原固有植物ガイドツアー集合場所に行く
4.ツアーガイドはりっちゃんという女性の方でした、彼女は自分のワゴン車にツアー客を乗せて父島の有名な自然ポイントに案内し、単なる固有植物の紹介だけにとどまらず、楽しい会話で、小笠原諸島の誕生からはじまり、そのなりたちや、大陸と一度もつながったことのない小笠原という絶海の孤島にどのような生物がどのようにして渡ってきたかについてなど驚くほど詳しく解説してくれたのでした。途中ラム酒ゼリーや飴を配ってくれるなど女性らしい細やかな心遣いが嬉しかった。
5.小湊海岸の遊歩道入口にこのような案内標識があった、入域者の靴底のごみを除去するマットが置いてあり私たちははそこを踏んで通りました
6.小笠原で問題となっている外来種の爬虫類「グリーンアノール:全長10cmくらい」、カメラを構えるとすぐに姿を消した。
この生き物が180年前以降にやって来た人間の荷物かなにかにまぎれて父島に上陸、問題は、この生物がやがて島内で急速に繁殖、そして彼らは生きていくために昆虫類を食すことから、父島では貴重な固有種の昆虫類が絶滅の危機に瀕しているという、この対策として、父島では現在グリーンアノール捕獲作戦を展開中、(右上の写真)島内いたるところにある固有植物タコノキの木にそのしかけがあった。(ゴキブリほいほいと同じ原理のしかけだそうだ)
7.父島唯一の川、ヤツセ川は小湊海岸にそそいでいる、写真はその河口
8.モクマオウ、日本本土の松に似ているが松ではない、オーストラリア原産の外来種だ。現在では沖縄や小笠原で見られるそうだ。
ガイドの話では、本来は小笠原にはなかった植物であり、今、この植物が小笠原固有の植物の生態系に悪影響を与えておりそれが深刻な問題になっている。小笠原へのモクマオウ持ち込みは、昔、小笠原に移住してきた西欧系の人々によって防風林用として持ち込まれたのではないかとのこと。
日本本土では、一般的に樹木の落ち葉は腐食して堆肥になるが、モクマオウの落ち葉は腐食が進まずこれが堆積すると樹下の地面を覆い尽くしてしまい、他の植物の種が発芽できなくなってしまうのだそうである。その一方でモクマオウは風を利用して花粉を飛ばし種子を拡散するとともに、岩場や砂地など過酷な地面でも発芽するので放置するとその勢力によって貴重な小笠原の生態系が次第に失われてゆくのではないかと心配されているのだ。
9.ボニンブルーに染まる小港海岸、遊んでいるのは地元の小学生たち、私たちにも懐かしい臨海学習だろうか
日本本土の海岸ではご承知のようにたくさんのゴミが漂着しているが、小笠原の海岸にはそのようなゴミはみられない、なぜだろう。潮流の関係もあろうが、ロマン派の私にいわせれば、小笠原はあまりにも大陸から離れているため、そのようなものさえ近寄りがたい神々しい島だからこそなのである。
小笠原の海水は手にすくってみればひんやりして透明だ、太古の時代から寄せては返す波の泡は清らかで白くまぶしい、だが沖合の海の色は見たことのない青色に染まっている。この色を小笠原に来た人々がいつしか名づけてボニンブルーと呼んでいる。ボニンは無人という日本語が訛って西洋に伝わったのが由来という。
10.4800万年昔の証明
小港海岸左側の岩肌、ガイドによれば、これが有名な枕状溶岩の形跡であり、今をさる4800年前にフィリピン海プレートに太平洋プレートのもぐりこみによってその一部がマグマとなって海上にあらわれたものが冷えて固まったものだという。
枕状溶岩の前に立てば、地球の鼓動が聞こえてくる、この下には今もマグマが巨大なエネルギーを秘めて眠っているのだ。
11.渚に残された不思議な足跡
「いったいこれは何の足跡ですか?」私は思わずガイドに尋ねた。よく見ると、渚から岸辺の草むらへとその足跡は幾筋も続いているのだった。
12.これがその正体ですよ! いきなりガイドのりっちゃんが草むらからそっと持ち上げた、うわあ、観客は一斉に驚きの声をあげた
小笠原には天然記念物に指定された4種の陸生のヤドカリがいて、これはその一つムラサキオカヤドカリ。宿貝はアフリカマイマイが多く、拳サイズにまで成長するそうな。ちなみに、今回見たのは孫のこぶしよりも小さかったが迫力はあった。見つめていると恥ずかしそうにカサコソと草むらに消えていった。
それにしても、私「なぜこのヤドカリが海と陸の間(例の砂浜の足跡)を行き来するのですか?」りっちゃん「それは産卵のためです」なるほど
13.小笠原にはじめて自然観察に行くならガイドが必要と痛感
もちろん、あらかじめ予習も必要だが、小笠原にはあまりにも多く初めて見るものが多いのでせっかく行くのであれば、楽しいガイドさんの同行がぜひとも必要だと、今回のオカヤドカリとの想定外の出会いを通じてあらためて感じたのであった。
14.小港海岸を後にする
海岸脇の樹林の木々も固有種が多いのだそうである。木陰は風通しがよく涼しかった。予定の時間も限りがあるので次のポイント中央山へと向かう
15.マルハチ
りっちゃんが歩みを止めて、指差したのは巨大なシダである。3mくらいもあるような大きな葉を傘のように広げていた、背の高さは8mくらいもあるように見えた。マルハチの名のゆえんは幹にある葉痕が八の字を逆さにしたような模様に見えるからだという。これも小笠原固有種だそうだ。
16.固有種オガサワラビロウの葉が根元から絶たれている、聞けば「野ねずみ」の仕業だという。小笠原では外来種の「野良ネコ」が山中に入り込み、絶滅危惧種の「アカガシラカラスバト」を襲っているとのことで、野良ネコの捕獲事業を進めている、ところが、その反動でこれも外来種の「野ネズミ」が増え始めこのような事態になっているのだそうだ。世界遺産小笠原にとっては悩ましい問題のようだ。
17.世界遺産小笠原の最高峰、中央山山頂に立つ
おそらく二度と来ることはないだろう。記念にりっちゃんに一枚撮ってもらった。
山頂の茂みでメジロが盛んに泣いていた。メジロは小笠原固有種ではないが、いつ絶海の孤島にやってきたのか定かではなさそうだ。
18.りっちゃんのはからいで小笠原でも珍しいと言われるボウランの花を見せていただき、貴重なツアーを終え、にっぽん丸に戻ってきた。
19.にっぽん丸は17時に予定通り、小笠原を出航、通船船団が名残を惜しみ並走してくれた、さらば小笠原よ!また来る日までごきげんようさようなら
20.25日の夕食
21.プレシャスコンサート 20:30~21:30
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