あとがき
60歳、2067年、裕次郎は日本丸のキャプテンを惜しまれつつ勇退、港横浜の日本丸甲板上での裕次郎送別会には数万の群衆が岸壁狭しと訪れてくれたのであった。真っ赤なバラの大きな 花束を片手に、背筋をビシっと伸ばした粋なマドロス姿の男は、恥ずかしそうに「みなさん、ありがとうございました」と深々と頭を下げた後、敬礼をして左右を見まわしたのちゆったりとタラップを降りて行ったのであった。そして、蛍の光の名曲が静かに流れはじめると、日本丸は偉大なキャプテンとの別れを惜しみながらもその前途を祝福するかのようにせつない汽笛をいつまでもいつまでも鳴らし続けてくれたのであった。