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はじめに(小説マドロスの作成にあたって)

作者の私(松山市清水町在住、1943年生まれ)は船員にはならなかったが父をはじめ多くの先祖は船員であったことから今でも時々船員になって世界の大海原を駆け巡っている夢を見ることがある。そんなとき、私は私の体の中にある先祖の遺伝子が私にそうした夢を見させているような気がしてならないのである。

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 このホームページは、そのような私の先祖からの遺伝子の導きにしたがい、私が実際に航海訓練所に存在する練習船についての情報を参考にしながら小説、航海訓練物語(マドロス)として編集したものである。このドラマを私の子孫が見る機会があれば若しかすると先祖からの遺伝子が共鳴し血が騒ぐかもしれないのであらかじめそういう背景を知っておいて欲しい。

 ただし、これはあくまでフィクション(小説)であり、実在する家族や人物のことを書き記そうとしたものではないことも最初に宣言しておきます。

写真は航海訓練所の練習船「日本丸」でこの小説の舞台となる。 

参考:この短編小説は、海運国日本のより一層の発展を祈念して作成いたしました。帆船訓練の必要性や重要性等は以下の通りです。

1.大型帆船日本丸による航海訓練の必要性(航海訓練所HP内のQ&Aの一節より抜粋させていただきました)

 帆を広げたり畳んだりするためには、たくさんのロープを力一杯引いたり、伸ばしたりします。一つ一つの作業を確実に、そして速やかに進めていかなければなりません。そのとき、自分がケガをしないようにすることはもちろんですが、自分の不適切な行動で仲間にケガをさせないように注意することも必要です。みんなが力を合わせてロープを引き、汗を流して帆を広げる作業が終わります。ホッと一息ついて気付いてみれば、それまで船を推し進めていたエンジンの音が止み、大きな船が風の力で走っています。ある種の感動を覚える瞬間です。

 あらしに出会い、雨や風にさらされ、ある時は全く風がない中で、割り当てられた時間中、一人一人が船を安全に動かすための役目を果たします。そしてある時は文字どおり、「待てば海路の日和」もあります。このように大自然と向き合って船を進めるなかで、仲間が力を合わせなければ何一つ達成できないこと、責任をもって自分の役目を果たさなければならないこと、雨や風にさらされながら堪え忍ばなければならないことなど船乗りだけではなく、人間として基本的に必要なことをごく自然に体で覚えていくことができます。そのようなことから、技術が進歩した現在でも世界のいろいろな国で帆船が活用されています。当所もこの理念に基づき、帆船による訓練を行っています。

2.日本丸船長になるまでの道のり(これはこの小説の作者の考えです)

 日本丸の船長になるには、子供の時からそのための強い意志と正義感、天才的な潜在脳力および※身体能力を有し、小学校1年生から勉学に励み常に首席で通し、まずは弓削商船高等専門学校などを出て海技士3級資格を得てから、経験を積んで上位の資格、海技士2級、さらに1級に合格後、競争率の最も高い航海訓練所の航海士採用試験に合格しなければなりません。そしてあえて日本丸の下っ端の航海士からはいあがり、実力を磨いて日本丸の中で最高の実力を身に付け、上役から評価されとんとん拍子で出世したらこの小説のように夢が実現するかもしれません。

 ※ここでいう身体能力とは

 色盲でないこと、視力は矯正視力で両眼0.6以上、聴力(難聴でないこと)、両手両足が自由に動くこと、その他、円滑に会話できること等

3.しかし、運、不運があることをあらかじめ認識しておく必要がある。

 日本丸は独立行政法人航海訓練所という組織に所属・運行されている。このため、まずは航海訓練所の採用試験に合格しなければならないのは当然だが定期的な採用は行っておらず、まして日本丸乗組員(航海士)という条件付きでの採用も行っていない、弓削商船高等専門学校などを優秀な成績で卒業するまでは、生来備わった頑強な健康と初志貫徹力、リーダーシップ能力、そして学問は常に首席といういわゆる天才的な能力があればさして難しいことではないが、残念ながら日本丸乗組員(航海士)の門は非常に狭いのでおそらくそこで立ち往生してしまうことだろう。しかし、あきらめることはない、海技士1級(航海士)を取得したならば、他に就職先もあるのでとりあえずそちらに就職して、不定期とはいえいつかはある航海訓練所の航海士採用試験のチャンスを辛抱強く待つべきだろう。または、ここが運命の分かれ道と心得て、さっさと日本丸をあきらめてより素晴らしい豪華客船などの船長への路が開けそうなら自分の英断でそちらに進んだ方がよりよい人生を送れるかもしれないのだ。とにかく日本人で最短で海技士1級を実力でとったという人材はおそらく日本では指折り数えるくらいしかいないはずだからその人物の前途たるや洋々たるものになるであろう。

4.日本の海運界の未来を発展させるには

 安全かつ経済的に設計・建造・運航できる新たな船を研究し実現する必要があると思われる。例えば、洋上での太陽光発電と風力を利用し軽油は最小限ですませるハイブリッド型豪華客船の開発等が考えられる。