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赤い魚

1.ヒメイチ(正式名:ヒメジ)

 この魚は、今でもスーパーには売られていません。昔から、ちくわやジャコテンの材料としてよく利用されていました。小さな魚の割に骨が太くてまるごと食べようとすると骨が口の中でガジャガジャするので市売されていなかったようです。

食べ方

(1)干物にして焼いて食べる

 魚を真水でよく洗ったのち、ウロコは除けたのち、塩をまぶして20匹ずつ竹串にさして軒先に吊るし乾燥させます。一晩も干せば干からびてくるのでそれを七輪に起こした炭火の上に金網をかけてその上にヒメイチを適当に並べて焼きます。するとヒメイチ特有の香ばしい香りが隣の家でもわかるくらい広がります。焼きあがった熱々の魚を皿に盛り醤油をまぶして食べます。丸ごと食べるとガジャガジャするので、箸でひらいて頭や骨、内臓、尻尾などは上手に除けて身だけを食べます。その味は香ばしく、脂も載っていて思わず「うまい!」、「うまいなあ!」、「いけるよなあ!」などと家族で囲んでと声をあげながら食べたものでした。

(2)にぎり寿司にして食べる

 ヒメイチでも大きくなると10cm以上にもなります。(ただし、経験的には20cm以上のは見たことない)それをウロコを除けてから、二枚に開いて頭や骨、内臓、むなびれ、尻尾などを取り除き適当に塩をまぶしてから、米酢にスダチの酢をまぜ、適度な砂糖やみりんも加味した古風な酢に沈めて一晩ねかせます。翌日、できれば新米を炊いて寿司酢でにぎり適度に酢じめしたヒメイチを絞ってから載せると鮮やかなヒメイチのにぎりずしのできあがり、「懐かしい味じゃな~、うまいうまい」といいながら家族で輪になって食べると格別でした。それは「すだち」がでまわる大潟の秋祭りのころのことでした。

2.クズナ(正式名:アマダイ)

 この魚は高級魚でした。成魚は30cm以上で50cmにもなります。そんな成魚は大阪や神戸の料亭に送られるので、大潟の地元の行商のおばさんがトロ箱のいっかくに忍ばせて売りに来るものは幼魚の20cmクラスのクズナであったように思います。それでも、アジやサバの2倍くらいもする値段が付いていたので、家族に病人が出た時くらいしか買えませんでした。

食べ方

 うろこを落とし、適当に輪切りにして、すまし汁にして食べていました。すましは醤油とみりん、生姜、などで味付けし、適当におたまにすくって舌で味を確かめながら味付けをしていたようでした。すると、やがてクズナ特有の上品なすまし汁ができあがります。子供時代には数回しか食べた経験はありませんでしたが、「こんなうまい汁があるとは、すごいな」と感じ入りました。そして汁の中のクズナの身は柔らかく、甘い味がしました。正式名アマダイはこの味から来たのかということは大人になってから知ったことでした。ちなみに、この魚は家庭ではもっぱらすまし汁にするくらいで、刺し身や焼き魚や、煮魚にしたりすることはありませんでした。

3.タイ(正式名:真鯛)

 この魚は高級魚中の高級魚で子供のころはほとんど食べたことはありませんでしたが、記憶をたどってみると一度だけ徳島のおじさんに誘われて、福村沖のタイの船釣りに行ったことがあり、その時にわけまえとして30cmくらいのタイを数匹もらったことがあり、それを刺身や煮付けにして食べたことがありました。

4.ガガネ(正式名:カサゴ)

 この魚は日本の防波堤や岩礁地帯に広く分布しており、食欲旺盛な魚であるため地元の三本松の磯で子供でも竹竿しかけ、ゴカイの餌で比較的簡単に釣ることができた。濃い醤油と、みりんまたは砂糖などで味付けし煮付けにすると驚くほどうまい美味しさであった。