その他の魚
1.ムシマ(正式名:ミンマオコゼ)
20~30センチぐらいで鬼のようにユニークな顔をしている魚である。ムシマがよく獲れる兵庫県の沼島(ヌシマ)が名前の由来という説も。顔の後ろに刺がある。白身の魚でぶつ切りにして大潟では鍋物にして食べていた。味はコシコシしていてあんまり美味くないが冬の寒い時期に熱々の鍋物にして家族で囲んでよく食べたものである。
2.アカベラ(正式名:キューセン(雌))
日本全国の穏やかな入り江に住んでいる。餌はゴカイや小エビである。貪欲な魚であり、簡単に釣ることができる。あまりにも簡単に釣れるので飽きが来てしまい釣りの対象魚というよりは「エサトリ」としていやがられている。しかし、焼いて食べると磯の香りがしてなかなか美味しい魚なのである。
3.キスゴ(正式名:シロキス)
初夏のころは海岸の沖合にいるが、真夏には波打ち際にまでよってくる。投げ釣りの対象魚として有名である。ふるさとのあこめや北の脇でも釣れるポピュラーな魚であった。よく洗ってからうろこをそぎ落とし塩をふって炭火で塩焼きにすると淡白ながら独特の味がする。
4.アイボシャ(正式名:アイゴ)
この魚の幼魚は毎年、初夏のころに大潟湾の防波堤に1週間くらい回遊してきていた。雑食性の貪欲な魚でご飯粒でも釣れる。ただ、回遊は1週間くらいでどこかに行ってしまい次は来年ということだった。成魚は太平洋岸の荒磯に住みつきアラメ等の海草を食べて成長する。磯釣りの対象魚で引きが強いのでわざわざこの魚を釣りに行く人もいるくらいである。欠点は刺身なら食べれるが、煮たり焼いたりすると特有の臭があって食欲がそがれることである。
5.アンジャコ(正式名:マアジの子)
大潟湾では毎年夏休みの夕方にあげばで釣れた。刺身にしてもうまいが、にぎりずしにするのが一番うまい。
6.チングレ(正式名:メジナの子)
昔は大潟湾の防波堤の先端に住んでいたが最近では見えなくなった。刺身や塩焼きにすると美味しい。
7.タチオ(正式名:タチウオ)
煮つけも良いが、3枚におろして5~6cmくらいに切ってにぎりずしにしたり酢漬けにすると美味である。
8.うなぎ (天然)
大潟湾ではうなぎの夜釣りが所々で行われていた。私の家の前の堤防でも「桶屋のおじいさんが毎晩釣っていた。」夏の夕方、夕日が沈むころにおじいさんはやってきて、竿を2本出して団扇で顔をあおぎながら、たばこをふかせながら、あたりを待っているのであった。えさはミミズである。うなぎは夜行性らしく日が沈むと出現する、やがておじいさんのしかけたミミズを飲み込んだが最後、あっというまにじいさんに釣られてしまうのだった。じいさんは毎晩2匹釣ったら帰ることにしていたようであった。
私もいつしか見よう見まねでじいさんのように釣ってみたら案外簡単に釣ることができた。それを持ち帰ったら母がさっそくかば焼きにしてくれて家族で「うまい、うまい」と食べたのであった。しかし、翌日また釣って帰りまたもやかば焼きにして食べたら、「うわあ、むつこいなあ、光彦もう明日からは釣ってきたらいかんぜ」と母にいわれ、その夏のうなぎつりは終わるのであった。そして、あいかわらず夕涼みしてうなぎを釣っていたであろうあのじいさんの存在さえもすっかり忘れてしまうのだった。
9.ハモ
ハモは高級魚であり、村の魚屋ではほとんど販売されておらず、戦後は京阪神の料亭向けに出荷されていたが、昭和27年ごろから村の魚屋でも売られ始めた。ハモはすまし汁にすると高級な出汁が出るし、すまし汁の中の身は少し小骨はあるもののほくほくして絶妙な味がするのであった。大潟では昔から小さなハモはちくわ屋さんで「皮ちくわ」↓として製造し地域の珍味として販売していた。皮ちくわの焼きたてに醤油をつけてかぶりつくと香ばしくじゅわ~と脂がのった独特の風味があり一度食べるとまた食べたくなるのであった。
10.アイナメ
和田島や、那賀川町の海岸のテトラポッドの根に潜んでいる。脂がのっている真冬が釣り時である。煮つけにして釣ってきては煮つけにしてよく食べていた。単なるしょうゆ味ではなく、ミリンやショウガ、ばあいによってはニンニクを加えて味付けすると美味であった。