土用波の思い出


幼児のころ、ふるさとの「衵(あこめ)の浜」で友達と水泳をして遊んでいた、すると波がしだいに大きくなり沖の方で波が魔物のように立ち上がり、波頭ではシャア~~~と水煙を上げながら、海岸に近づくとズドーンと音をたててひっくり返り、ゴーーーーと巨大な白い噴流になって幼児たちに向かってくる、と、幼児たちは思わず手をつなぎあってそれに立ち向かおうとするが、あっというまに噴流に飲み込まれてみんなはバラバラになりゴオオオオオオという泡にもみくちゃにされながら、ながされたあげく、岸辺に放り出されるという始末!!

不思議なことに恐怖心はなく、もみくちゃにされることが楽しいと感じたのであった。そして、何度も何度も手をつないでは波に立ち向かい、またもみくちゃにされては歓声をあげるということで遊びまくったのであった。

今考えると、とんでもないことをして遊んだものだ、偶然ながら干潮から満潮へと向かう時間帯であったので波にさらわれることなく済んだが、逆に満潮から干潮に向かう時間帯であったなら、数名の幼児全員が波にさらわれ大事故になっていたと思われる。

時代は終戦後の昭和23年ころで、幼児らはなんの恐怖心もなく、一緒にいることが楽しかった。ちなみに大人たちは食料探しに明け暮れ必死で働き、子供と一緒に水泳するなど考えてもいなかった時代だった。だから衵の浜で子供がそんな危険な遊びをしていたとは、どの親たちもつゆ知らずだったのである。

現在では学校にはプールがあり、衵の浜辺には「危ない!!ここで泳いではいけません、危ない!!」という遊泳禁止の立て札が立っている。
2022.08.18 09:13 | pmlink.png 固定リンク | folder.png つぶやき

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