木星
木星は、太陽系の中で最も大きな惑星です。直径は地球の約11倍、体積は約1,300倍もあります。しかし、重さは地球の約318倍しかなく、大きさのわりには軽い惑星です。
木星のすがた
木星は、赤道方向に平行に伸びる縞模様が特徴ですが、これらは大気中に浮かぶアンモニアの氷の粒でできた雲です。縞模様の色の違いは、雲の粒の大きさや雲の厚さ、微量に含まれる元素の違いなどが原因です。
木星の構造
大気の厚さは約1,000km、成分の約9割が水素、残りのほとんどがヘリウムでできています。大気の下には液体水素の層が、さらにその下には液体金属水素の層が広がっています。液体金属水素とは、水素が高い圧力のために圧縮され液化し、電気を通すことができる状態の水素のことを言います。中心部には地球の質量の10倍弱ほどの、岩石と鉄・ニッケルなどの合金でできた核があると考えられています。
速い自転
木星は公転周期は12年ですが、自転周期が約10時間と、非常に速く自転しています。そのため、木星は遠心力で赤道方向にややつぶれた形をしています。
巨大なうず、大赤斑のなぞはいまだに不明
地球からも見える木星表面の赤い斑点模様。これは「大赤斑」と呼ばれ、木星の模様の中でもとくに有名です。大きさが地球3つ分もあり、木星をとりまく雲によってつくられ、地球の台風やハリケーンに似た現象だといわれています。大赤斑は時速100kmで左まきにうずまいています。大赤斑は17世紀にフランスの天文学者ジョバンニ・カッシーニよって発見されてから、300年以上もずっと存在していると言われていますが、どのようにできたのか、なぜ数百年もの長い間消えずにいられるのか、まだ明らかにされていません。また、2005年には、大赤斑の南にあった白斑が赤みを帯び始め、中赤斑にまで成長するという現象が起きました。その様子はハッブル宇宙望遠鏡などによって詳細に観測されたため、そのデータを詳しく解析することによって、大赤斑発生のメカニズムが明らかになるかもしれません。
太陽圏最大の磁気圏
木星は非常に強い固有磁場があり、木星の周囲には強大な磁気圏が発達しています。磁気圏では、地球からも観測される強い木星電波を発生しています。地球と同様に、木星でも両極にオーロラが発生することが分かっています。また、衛星のイオから発生したイオンが木星の大気に衝突する箇所では発光現象(オーロラ)がみられます。
四大衛星と小さな衛星たち
木星には2009年1月現在で63個もの衛星が発見されています。おそらく、まだ発見されていない衛星も数多くあると思われます。衛星の多くは直径が数十kmほどしかない岩石のかけらのようなもので、小惑星が木星の引力に引きつけられ、捕らえられたものだと考えられています。63個の衛星のうち4つの衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は特に大きく、1610年にガリレオ・ガリレイによって発見されたことから「ガリレオ衛星」と呼ばれています。これらは小望遠鏡でも見ることができ、時間をおいて観察すると、木星の周囲を公転している様子を見ることができます。
衛星イオ
活火山を持つ衛星イオは、ガリレオ衛星の中で最も内側を公転している衛星で、木星からの距離は約42万kmです。直径は3,642kmで地球の月よりもやや大きい程度です。イオは、惑星探査機「ボイジャー」によって、地球以外で初めて活火山が発見された天体です。火山は現在でも活動しており、表面は溶岩で覆われています。地球の溶岩とは異なり硫黄が主な成分です。硫黄の噴出物が高さ数百kmにまで噴き上げられている様子も見つかっています。イオの火山活動は、イオが木星に非常に近いところを回っているために、木星の潮汐力を受けて星の内部が伸びたり縮んだりして熱せられることによって起きていると考えられています。イオの火山から噴き出た物質は、木星の磁場に捕らえられ、木星のオーロラの原因になっているとも言われています。
衛星エウロパ
ガリレオ衛星のうち2番目に内側を公転している衛星エウロパ。木星からの距離は約67万kmです。直径は3,130kmで、地球の月よりやや小さく、ガリレオ衛星の中では最小です。エウロパの表面は氷で覆われていますが、そこには無数のひび割れのような線が走っています。エウロパもイオ同様、木星の潮汐力を受け、内部が熱せられていると考えられています。そのため、内部では氷が溶け、液体の水がある可能性も指摘されています。
衛星ガニメデ
ガリレオ衛星のうち木星から3番目の軌道、木星から約107万kmのところを公転しているガニメデは、直径が5,268kmもあり、太陽系の衛星の中で最大の大きさを誇っています。その大きさは惑星である水星よりも大きいのです。ガニメデの表面は、明るく白っぽい部分と暗く黒っぽい部分が見られます。暗い領域にはクレーターが多数見られますが、明るい領域にはあまり見られません。代わりにエウロパ同様、多数の筋状の模様を見ることができます。アメリカが打ち上げたガリレオ探査機によって、ガニメデには固有磁場があることが確認されており、内部に溶けた金属核かイオンの海など何らかのダイナモ作用の起こる構造があると考えられています。
衛星カリスト
ガリレオ衛星の中で最も外側、木星から約188万kmのところを公転している衛星カリスト。直径は4,806kmで、水星とほぼ同じ大きさです。カリストの表面は無数のクレーターに覆われています。イオに見られる活火山やエウロパとガニメデに見られる筋状模様のように、最近、活動したような痕跡は見られません。木星から遠かったカリストは、木星の潮汐力の影響を受けずに、できて早々に活動を停止したと考えられています。