銀河系
銀河とは宇宙空間に点在する星の大集団のことです。宇宙には大小さまざまな、たくさんの銀河があります。銀河は、恒星の他に星間物質 [ガスやちり、暗黒物質(ダークマター)] などからできています。私たちの太陽系は銀河系という銀河に属しています。そのことを最初に発見したのは、約400年前に自作の望遠鏡を夜空に向けたガリレオガリレイでした。
銀河系内には約2000億個もの恒星があります。私たち太陽系の太陽はそのうちの一つです。
銀河系のすがた
NASA(有名なアメリカ航空宇宙局)の想像図によれば銀河系は、渦巻き型銀河だといわれています。
◆上から見た想像図
◆横から見た想像図
銀河系の構造
銀河系は3つの部分からできています。まず、星やガス、ちりでできた円盤があります。円盤の直径は10万光年もありますが、厚さはおよそ2千光年くらいで、宇宙のはるかかなたから見たとすれば、それはまるで薄いお皿のように見えることでしょう。
その中心にはバルジと呼ばれる星でできたふくらみがあります。さらに、円盤やバルジを包み込む球形のハローがあります。ハローは薄い高温ガスと球状星団、およびダークマターなどからできています。
銀河系は、2,000億個の恒星とその数十パーセント程度の質量を持つ星間物質の集合体です。恒星は全体的には凸レンズやどら焼きのように中心部がふくらんだ円盤の形に分布しています。その構造は、ディスク(円盤部)、バルジ、ハローに大きく分けられます。ディスクには若い恒星と星間物質が集中していて、渦巻状のパターン(渦状腕:かじょうわん)が見られます。恒星の分布は直径約10万光年で、厚さは中心から遠いほど薄く、中心部で約1万5,000光年、太陽系付近で約5,000光年です。太陽系は銀河系の中心から約2万8,000光年の距離にあり、オリオン腕と呼ばれる渦状腕に属しています。バルジは中心の楕円形にふくらんだ部分で、年老いた恒星が多く、星間物質はほとんどありません。ディスクとバルジを球状に取り囲む領域はハローと呼ばれています。ハローには恒星は少ないのですが、球状星団はここに分布しています。
主にディスクには、恒星と恒星の間の空間にガスと塵(ちり)から成る星間物質が満ちています。ガスは密度や環境によって電離ガス、原子ガス、分子ガスの形態を取っています。その中で最も密度の濃い分子ガスは、雲のように広がる星間分子雲を作っていて、新しい恒星が生まれる場所となっています。分子ガスの主な成分は水素分子ですが、その他にも150種類以上の分子が星間空間に発見されています。一方、塵は1μm以下のサイズのものが多く、可視光をさえぎります。塵が濃いところでは背景にある恒星の光をさえぎり、シルエットのように浮かび上がる暗黒星雲として観測されます。天の川の中心方向にも暗黒帯が見られます。
銀河系の中心は、太陽系から見るといて座の方向にあります。その中心部には、巨大ブラックホールが存在すると考えられています。その他にもディスクやバルジには見られない中心部に特有の現象が多く見られます。
銀河系の回転運動は中心から遠いところでも速度が小さくならないという特徴があります。これを説明するためには、これまでに観測されている天体の質量の合計よりもはるかに多い質量が必要になります。そのため、ハローなどに大量のダークマターが存在すると考えられていますが、その正体はいまだ解明されておらず、天文学の大きな未解決問題の1つになっています。
銀河系は2億年で1回転する
米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)などの最新研究によれば、太陽系は銀河系中心から2万8000光年の距離にあり、秒速260kmの速度で回っていますが、驚いたことに、太陽系だけではなく、銀河系を構成しているすべての恒星や星間物質がバランスよく一緒にゆったりと回っているのです。そして、約2億年で銀河系は1回転するとのことです。
太陽系内では太陽に近い惑星の公転速度は速く、太陽から遠い惑星の公転速度は遅くなっています。例えば水星の公転周期は88日ですが、金星は225日、地球は365日、火星は687日、木星は12年、天王星は84年、海王星は165年となっています。
ところが、銀河系では、円盤の中心付近でも外側でも角速度は同じです。これは太陽系内での惑星の動きとはまったく違うことになります。
銀河系では、ダークマターという謎の星間物質の作用により、系内にある多数の恒星が、それぞれ誕生から終末までの寿命には違いはあるものの、円盤内で生まれた時から最後まで、銀河系中心からの距離を保ちながらバランスよく周回しているのです。
その様子をはるかかなたにある別の銀河から見た場合、渦巻き型の銀河系の中にある恒星たちは、中心付近の星も円盤の縁にある星も仲良く一緒に回転しているのがわかるはずです。
それはまさに、巨大な渦撒き型の銀河系がゆったりと2億年周期で自転している姿なのであります。しかも、銀河系はゆっくり回転しながら実は宇宙空間を移動しています。
宇宙には銀河系以外にも大小様々な多数の銀河(星の集団)が存在しています。宇宙が137億年前に誕生後、膨張しつづける宇宙の中でそれらの銀河は生まれたのです。宇宙が膨張しているとだけ考えるとそれぞれの銀河は互いにある速度で離れてゆくように思われますが、近隣にある銀河どうしは互いの重力で引き合い近づくといわれています。例えば、銀河系の近隣にあるアンドロメダ銀河は時速40万kmで銀河系に近づいていると見られています。
参考資料(2012/06/21の日本経済新聞記事より)
地球がある銀河系は40億年後には近隣のアンドロメダ銀河と衝突する――。こんな分析結果を米航空宇宙局(NASA)のチームがハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で導き出し、1日までに発表した。
ただ、双方の銀河には十分な隙間があるため、星の衝突はないという。NASAは「将来、太陽は今よりもさらに銀河の中心から離れた位置にあるかもしれないが、太陽や地球が破壊されることはない」とコメントしている。
チームはハッブルの観測で得られたデータを基にコンピューターを使って二つの銀河の将来の位置を予測した。すると、二つの銀河は重力で引きつけられて40億年後に衝突し、その後分離と衝突を繰り返して、60億年後に一つの銀河に融合するという結果となった。
アンドロメダ銀河と銀河系が接近していることは知られていたが、衝突するかどうかは科学者の間で意見が分かれていたという。
アンドロメダ銀河は地球から約250万光年離れた比較的近い位置にあり、時速約40万キロメートルで地球に近づいている。