2015/05/28
湧ヶ淵の自然ウオッチング
5月28日、空は薄曇りであったが、湿度が低く爽やかな感じで、森の奥からは今日の主役のホトトギスの声がこだましていた。
1.場所の概要(湧ヶ淵公園)
松山市の水源、石手川ダムの近くにあって、自然の森林を利用した公園である。
2.メンバーの様子
いつものように元気な乙女たちは森林浴を楽しみつつ熱心に観察していた。
3.自然豊かな森の声
湧ヶ淵公園の入口から展望台へと至る道を歩むと道の周囲は深い森林になっていた。様々な形の樹木が自由に幹や枝を伸ばし濃い緑の葉を茂らせていた。公園の歴史はかなり古いらしいが松山市内からかなり離れていることもあってか散歩に訪れる人もほとんどなく全体的には鬱蒼とした森林のたたずまいがほどよく保たれているようであった。
(1)ミツバチの合唱
遊歩道を進んでゆく途中で講師が足をとめた。耳を澄ませると頭上の木陰からミツバチの集団がまるで楽しげに合唱しているような声が聞こえてきたのであった。
(2)小鳥たちがヒナを育てているらしき声
姿は見えないものの、講師の話ではヒナの声が聞こえるとのことだった。この森にはウグイスやホトトギスの他にキビタキや、ヤブサメなど貴重な小鳥たちが住んでいるらしい。
4.観察記録
(1)昆虫
メンバーが大発見、ウスギヌカギバだ!
和名:ウスギヌカギバ
学名:Macrocilix mysticata watsoni
またもや大発見、ヤマトシリアゲだ!
和名:ヤマトシリアゲ
学名:Panoma japonica
なぜ?クマバチが地面を歩いていました↓、命のドラマの一幕みたいでした
ひょうきんな表情のオトシブミにも出会いました。
(2)植物
ウツギの花があちらこちらで咲いていた
ヤマイモの種子
ギンリョウソウ
ツツジの一種
(3)鳥類
ホトトギス、声は盛んに聞こえたが姿は見えなかった
キビタキも、声は聞こえたが姿は見えなかった
5.オトシブミについての考察
オトシブミはオトシブミ科(分類によってはオトシブミ亜科)の昆虫の総称である。ナミオトシブミ Apoderus jekelii のことを特にオトシブミと言うこともあるが、ここではオトシブミ科について述べる。
◆特徴
中型から小型の甲虫で、体は頑丈で厚みがある。いわゆるゾウムシ類の姿であるが、多くの種では頭部から口器部分が突出する程度は小さくむしろ頭部の眼より後ろの部分と前胸部が長く伸び、一見すると「首が長い」ように見える。
◆名称
名前は、江戸時代に他人にばれないように手紙を道端に落とし、他人に渡したという「落とし文」から来ている。
新緑の時期に、広葉樹の野山などを散策していると、落とし文の様な筒状に巻かれた葉が落ちていることがある。この「落とし文」をせっせと作って路面に落とすのがオトシブミ科の昆虫である。
「ホトトギスの落とし文」「落とし文の揺籃」の別名もある。
◆生態
メスは初夏のころ、ある特定の若葉を巻いて揺籃を作る。葉を決まった方法で折り曲げ、緊密に巻いたそれは、円筒形をしており、指で触ったくらいでは崩れない。作成に当たっては葉全体を使う例、葉の一部を切り取って素材とする例など、種によって違いがある。出来上がった揺籃はそのまま葉についている例、落ちやすいように切り取って、後に自然に落ちる例、切り落として「落とし文」にする例などがある。揺籃を作るのは雌であるが、雄がそばに付き添う例がある。
この葉を広げてみるともっとも内側に卵が1個だけ生みつけられているのが分かる。産卵は葉を巻く間に行うもの、完成後に穴を開けて行うものなどがあり、これも種によって異なる。卵からかえると、オトシブミの幼虫は揺籃の葉を食べて育つという、非常に合理的で無駄のない仕組みになっている。
幼虫は揺籃を内側からを食べて成長するが、このとき、中の様子を観察しようと揺籃に穴をあけると、幼虫は糞で塞いでしまう。幼虫はやがて蛹となり羽化するが、羽化後もすぐに外へは出ず、数日揺籃の中で過ごす。これは体が完全に固くなるまで待っているためと考えられる。
チョッキリも同様の習性があるが、オトシブミのような円筒形の折り曲げたものでなく、棒状や筒状など、巻き込んだだけのより細長いものを作る。揺籃を作らないもの、他種の揺籃に自分の卵を産み込む寄生性のものも知られる。また、チョッキリ類では幼虫は揺籃から脱出して蛹になる。
6.参考資料、湧ヶ淵公園の沿革
湧ヶ淵公園は石手川上流の景勝地湧ヶ淵の山林地域を公園としたもので、静かな環境を保持し自然の緑を生かし、清浄な空気に包まれて利用者は遊歩道を散策しながら自然にふれ、緩やかな園路を幼児から老人にも利用できる公園として、昭和43~49年度にかけて整備されました。その地域は奥道後玉川県立自然公園の区域内にあり、愛媛県立自然公園条例の特別地域に指定されています。この地域約30haは海抜約100m~420mで、全体としては東西に幅狭く南北に長く延びており、大変変化に富んだ地勢となっています。