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2015/11/12

今回は愛媛大学の沿岸環境科学研究センターの生物環境資料見学、および大学構内の樹木観察であった。さわやかな晴天下、講師以下6名でいつものように熱心に行われた。

1.生物環境資料バンク(es-BANK)とは

世界各地から生物・環境資料を収集し、保管管理するとともに学内外の研究に提供するシステム(一般的にはスペシメンバンクと呼ばれる)。詳しくはこちら

2.目的

人間活動による海洋への有害物質による生物への汚染モニタリング研究に資する。

3.特徴

過去50年間にわたり世界4大陸7大洋およびその沿岸から収集した種類数1,361、個体数117,327に及ぶ、野生生物、水、土壌等を保存している。環境研究のタイムカプセル、人類の貴重な財産として活用可能。(これら資料による研究論文引用度は全国5位である。)

4.今回の見学の感想と写真

(1)感想

このような貴重な研究施設が身近な大学にあることをはじめて知ることができたいへん感動しました。また、マイナス20度という冷凍庫の中に実際に案内していただき人生初の想像を絶する低温体験をすることができました。無風であったためかまた、防寒着をお貸ししていただいたせいか最初は予想していたほど寒くは感じませんでしたが、途中でデジカメのシャッターが固くなったり、耳が痛く感じたりしはじめて緊張しました。そして、出てきた時のメガネの「氷化」ぐあいははんぱではありませんでした。今回の滞在時間は数分だったのでなんとか持ちこたえましたが、1時間もの滞在は困難だなと感じました。

(2)写真

a. マイナス196度の液体窒素に保存されている資料を取り出された様子。

b. -20℃の冷凍庫に保存されているペンギンの標本

5.大学構内の樹木観察

(1)観察風景

愛媛大学構内には様々な樹木が植栽されていました、天気が良かったのでのんびりと講師の説明を聞きながら歩いて今回も楽しいひと時を過ごさせていただきました。

(2)観察記録

・ケヤキの紅葉

ケヤキは高さ30mを越えることもある落葉性の高木。本州以南の日本各地、朝鮮・中国・台湾に分布する。渓谷沿いや水分条件の良い平野などによく見られる。枝はほうき状に広がって美しく、都市公園や街路樹などにも広く植栽されている。特に関東平野では街路樹や公園木として広く植栽されており、特有の景観を醸し出している。関東地方のローム層が生育に適しているのであろう。
種子は枝から離れて落下するものと枝に付いたまま枝ごと風に運ばれて散布されるものがあり、枝に付いたままのものの方が、より遠方に散布されるという。材は木目が美しく、狂いも少ないので家具材・楽器・器具材などに広く利用されてきた。

・ユリノキの紅葉

ユリノキは北米原産の落葉高木。チューリップノキ、ハンテンボクなどの別名がある。ユリノキあるいはチューリップノキは学名を使ったもので、5月から6月にかけ、チューリップに似た黄緑色の花が咲く事によっている。花の大きさは直径5~6cmで結構大きいのだが、色的にあまりめだたないことと、高い梢の上に咲くので気づかれないことが多い。

・カツラノキ(キャラメルの匂いがするらしいのだが・・・)

カツラの樹はその葉や樹冠が端正で優しい印象があって、都市緑化木としてもいい雰囲気の緑陰を提供してくれる。そして秋の黄葉はひときわ美しく、条件が整えば、ほのかな甘い香りを漂わせ、これに気づいて、ふと足を止めることになる。さらに、その木材は古くから生活に密着した堅実な有用材として知られ利用されてきたのだそうだ。

・アラカシの実

・タイサンボクの実

・タイサンボクの地表根(地表にある養分を吸収する)

・ソテツの実(真水には浮かないことが分かった)

6.個人的な撮影

・モミジバフウの紅葉

フウ属には葉の形からモミジバフウ(5-7裂)とサンカクバフウ(3裂)がある。前者はアメリカフウ(北米・中南米原産)、後者は単にフウ(中国・台湾原産)、タイワンフウとも呼ばれる。ともに日本で街路樹・公園木などとして普通に植栽され、秋の紅葉が特に美しい。また、フウは「楓」と書かれるが、カエデはムクロジ目に属し翼果をつけるのに対し、フウ属は雌花の花序が球形で垂れ下がるので区別できる。

・大学構内から御幸寺山(みきじさんと読む)を望む

日赤病院や愛大がある通りの突き当たりに標高164.6mの山が 御幸寺山。 樋又通りと交わる交差点はお正月になると護国神社の初詣客で露店が並ぶほどの賑わいに。

6.今回の感想

なんといっても今回は生物環境資料バンクの見学ができて良かったです。このような貴重な研究施設が身近な大学にあることを知り、単に驚くだけでなく苦労をされている方々がいることを知りたいへん心強く感じました。ありがとうございました。

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